みんなのいけばな

File No.91

中川 澄子さん 中川 澄子さん 山形県/山形支部

教員の心得として学んだいけばなを 地域貢献に役立てて

山を愛し
山野草との出合いをたのしむ

教員として長きにわたり学校行事でのいけばな挿花を担当されていた中川さん。退職後にいけばなを基礎から学び直そうと研修課程を受講したことで、ご自身の世界が広がったように感じられたそうです。感性豊かに、心豊かに日々の生活を楽しまれている中川さんに、お話を伺いました。

頼りになる澄川さんとの出会い

 澄川さんと出会ったのは、平成20年、研修課程T期を受講したとき班が同じで、ホテルへ戻る電車の中で声をかけられたことがきっかけでした。山形弁(ズーズー弁)の私と違って、きれいな発音と抑揚で話される澄川さんに、とても良い印象をもちました。また本来ならT期の受講は免除されたのですが、「勉強するなら一から学びたい」と思ってT期から受講したのは、澄川さんも同じだったようです。
 澄川さんには筆記試験のコツなどを教えてもらい、ホテルの部屋で猛勉強したことを思い出します。豊富な情報をお持ちで、いけばなに関する理論的なアドバイスも的確で、まるで教科書のようでした。田舎者の私は教わることが多く、さまざまな面でとても助かりました。

 U期からは他に仲間が加わり、澄川さんをはじめとする4人グループでいつも夕食をご一緒しました。考査の予想や作品の批評から世間話まで、いろいろとお話したことも楽しい思い出です。現在でも年賀状のやりとりを続け、いつか山形へ遊びに来てくださるようお誘いしています。

いけばなはライフワーク

入学式の挿花(元勤務校)(2014年4月)

卒業式の挿花(元勤務校)(2011年)

 いけばなを始めたのは教員をめざしていた教員養成所時代。先輩が「現場で役に立つから」と教えてくださった、山形発祥の「栖草(せいそう)流」を習いました。勤めてからは入学式や創立記念式、卒業式などの挿花を担当。現在のように花屋さんなどがなかったので、山から採ってきた松に菊をあわせていけたりしました。
 その後、知人の紹介で小原流を習うようになり、現在まで続いています。子育てに忙しく空白の時期もありましたが、いつも身近に花をいけてきました。

創立記念日の挿花(元勤務校)(2012年9月)

 平成12年3月に退職した後も、かつての勤務校に出向き、年3回の式典の会場花、玄関や控室などの花をいけ続けています。花材は家の畑に植えたものを使って経費を節約、そんな挿花を始めて15年になりました。式場用にと花器を記念に置いていかれる先生もおられ、私も退職時には花台と花瓶を寄贈しました。

敬老会会場の作品(2010年9月)

 現在は、地元の敬老会会場に花をいける活動をおこなっています。地域のためになんとか役に立ちたいと考えています。

講座や研究会が心の琴線に触れて

みんなの花展 出品作品(2004年4月)

 退職後、今まで続けてきた「花」について基本的なことから勉強し直したいと思い、『挿花』に載っていた「専科(写景盛花講座・琳派調いけばな講座・文人調いけばな講座)」を受講しました。その後、研修課程があることを知り平成20年から26年まで学びました。一流の先生方のご指導に触れ世界が広がったように感じ、また全国から意欲的に参加する受講生の方々の姿に刺激を受けました。

みんなの花展 出品作品(2010年5月)

 年に8回おこなわれる支部の研究会は、実力を試す機会であり、研究院の先生方にご指導いただくことでいけ方の微妙な変化や基礎的な確認ができる良い機会でもあります。点数も気になりますが、それよりも継続することの大切さや良い作品を鑑賞できる喜びを感じています。専門教授者研究会で学んだことも日常の指導に役立っています。

山形駅の展示花(2016年10月)

 山形市の華道協会では山形駅に展示花(14流派で1週間交代)をいけており、小原流として協力しています。手直ししていると、東京方面から旅行に来られた小原流の会員の方が声をかけてくれることもあり、楽しいものです。

四季折々の山の魅力 花と出合い、歌と出合う山歩きのたのしみ

 山の魅力は、山菜採りや山の樹、山の花、鳥の鳴き声など、季節ごとの自然をたのしめることです。山歩きは、熊よけのラジオの音量を上げ、小さなリュックを背負って一人で平坦なところを歩きます。新緑のまばゆい頃には、山に行かなければ聴くことができない杜鵑(ホトトギス)や筒鳥の声を蕨採りをしながら聴き入ります。最近は歩きすぎると膝痛がおきるのでほどほどに加減していますが、それでも花展の材料は山の木を中心に花を取り合わせます。また、自宅の稽古にも使っています。

またたびのデッサン(2013年7月)、姫さゆりのデッサン(2016年5月)

 もう一つの趣味は短歌です。山好きな私にとって、山は花材だけでなく歌材に出合える場所でもあります。春は芽吹きの木々や山つつじ、夏はエゾアジサイや山百合、くがい草、姫さゆりなどを眺め、秋は野生の梅もどき、蔓梅もどき、野いばらなど、初冬は日蔭蔓、紅つる、雁足などを折々の山の様子に詠みこみます。また栗鼠(リス)や雪の上の動物の足跡など、自分が感じたことを歌にします。

 短歌歴は10年になりますが、月2回のカルチャー教室に出す歌づくりでは、文語表現、古語などを用いて「5・7・5・7・7」の31文字にいかに自分の思いを表現するか、頭を使います。短歌もいけばなと同じく上達への道のりは遠いです。脳トレと思って続けており、教室で20数名の仲間とともに笑うことが健康に良いと思っています。
 他に植物のハガキ絵、編み物(孫が小さい時は棒針でよくチョッキを編みました)、温泉めぐりなども生活の合間に楽しんでいます。

自宅教室でのお稽古(2016年12月)
【中川 澄子さんに一問一答】
好きな花: 雪椿、山芍薬、山おだまき、ノリウツギ、またたびなどの山野草
好きな作家: 藤沢周平
好きな作品: ドラマや映画になった『蝉しぐれ』『たそがれ清兵衛』は何回観ても飽きない。短編の文庫本も同じです。
マイブーム: 料理上手になりたい。

中川 澄子さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、今野 鈴子さん(秋田支部)です。仙台の教室や研修課程でご一緒した今野さんは、地区別教授者研究会では何度も優秀花に選ばれた実力の持ち主だそうです。お若いのに穏やかで控えめな人格者で、中川さんの大切なお友達とのこと。どうぞご期待ください。


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