みんなのいけばな

File No.93

工藤 豊真さん 工藤 豊真さん 秋田県/能代支部

周りに恵まれ、花に力をもらって 豊かな出会いに感謝

恩師の言葉に支えられ
自分を信じて歩み続ける日々

友人が何気なく発した言葉によって始まった工藤さんのいけばな人生。常に感謝の気持ちと学ぶ姿勢を忘れず邁進され、今では能代支部長として活躍されています。お稽古帰りのタクシーの運転手さんにいただいた貴重なアドバイス、「教える」ことへの意識の変化など、いけばなと小原流への思いにあふれた工藤さんのストーリー、どうぞご覧ください。

謙虚で気配りのできる今野先生 大切な友人であり、目標とする人です

「芸術文化祭」に出品。
亡きお花の友人からいただいた豆青窯に
(2012年10月)

 秋田支部の「みんなの花展」を拝見させていただいた際に、今野先生も研修課程U期に参加されていることを知り、私の方からお声をおかけしたご縁で急速に親しくなりました。お互いの支部同士の交流が盛んなこともあり、地区別教授者研究会や研修課程U・V期とご一緒し、現在もお付き合いが続いています。
 今野先生はとても控えめで女性らしい印象があり、お話しされる時の落ち着いた語り口調に癒されます。どこかへお出かけの際にはお土産を買ってきてくださったりと、気遣いもできる本当に素晴らしい方です。もちろんお花の腕も抜群で、地区別教授者研究会では10回以上も総合優秀賞に輝いておられ、私の「目標」とさせていただいています。
 支部の交流、県連研究会、みんなの花展、周年行事等でお目にかかる以外、電話で近況報告などを話すとどんどん長くなってしまいますので、もっぱらメル友の間柄です。
 特に印象に残った出来事は、研修課程U期受講中に今野先生が盲腸炎(虫垂炎)で大阪の病院に入院されたことでしょうか。あの時は本当にビックリしました。

私の背中を押した 運命の一言

お正月花(文人調いけばな)(2017年1月)

お正月花(琳派調いけばな)(2017年1月)

 お花を習い始めたのは、高校2年生の時、中学校から一緒だった友人に「あなたにはお花が似合うから」とおだてられ、誘いに乗り華道部に入ったのがきっかけです。3年生となり校内全クラブ(部活)の部長による予算を巡っての会議中には、思わず手を挙げて「小原流は財団法人でしっかりした団体ですので、予算を考えてください」とよく調べもしないで“法人”という言葉を出してしまいました。今思い出しても恥ずかしい思い出ですが、花器を保管する棚が欲しくてどうしても予算をいただきたかったのです。そのおかげで、結果的に棚を設置することができてホッとしました(笑)。

陶芸家・工藤真人先生
(故 工藤昌信先生のご子息)の展示
(2015年10月)

 地元に就職後も、高校生の時にお世話になった中野豊秀先生の教室へ引き続き通うことにしました。お稽古は土曜日の終業後でしたので、仕事の帰りが遅くなるとお稽古が終わるのも遅くなってしまい、最終のバスに間に合わずタクシーで帰ることもありました。ある時乗車したタクシーの運転手さんから「お花を習っているの?」と聞かれ「はい」と答えると、「そう。だったら教えられるまで頑張りなさい。」というやり取りをしたことを覚えています。その頃はまだ師範科U期でしたので「教える」立場になるなんて考えたこともなかった私は、何も返答できず…。「教える?教えるってどうすること?」と考えて寝つけなくなりました。
 花嫁修業の一環にもなり、普段着でもできるからという単純な気持ちで習い始めたいけばなを「教える」側へ、と思えたのはまさにあの一言のおかげです。指導する難しさの中に楽しみを見いだすこともできるようになった今、私の背中を押してくださったあの運転手さんに感謝しています。

 結婚し、出産後も子どもをおんぶしながらお稽古に通いました。背中の子どもが泣くと、中野先生が「あなたはお花に集中しなさい」と子どもを抱いてくださったり、おむつを取り替えてくださったり。私が諦めずにいけばなを続けることができたのは中野先生のおかげと、本当に心から感謝しております。
 また、ある先生がおっしゃった「勉強は裏切らない」というお言葉が、私の教えとなっています。自分を信じて努力を重ね、努力が実らない時期であっても強い信念をもって結果がでるのを待つ。努力は必ず報われるということを学びを通じて実感し、今後もその言葉を胸に前進していきたいと思っています。

新年初会で「花奏」の初いけに挑戦(2014年1月)

より多くの人に いけばなをもっと身近に楽しんでもらうために

 能代支部では、「みんなの花展」や「芸術文化祭」に出品する際は、ひとつでも多くの作品をご覧いただけるよう、合作ではなく「1人1作」と決めています。

芸術文化祭に出品(2014年11月)

 普段、研究会に出席されない方も、花展にははりきって出品してくださるので、本人たちも親先生もなごやかな雰囲気の中、楽しく開催できています。花展には広く市民の皆様に足を運んでいただきたいので、ご来場者へのご案内にもついつい熱が入ってしまいます。いけばなをご覧になるのが初めての方にも「これなら自分にもできるかも…」と思っていただけるよう、大作だけでなく、小さな作品も出品するよう心がけています。

お稽古の様子(左から二番目が指導中の工藤さん 2012年12月)

 近年は高齢化が進み、少子化や趣味の多様化などもあり会員減少が気になるところですが、小原流は日本を代表する「三大流派」の一つ、ゆるぎない誇れる流派だと思います。発表の機会がある限り、気軽に自由に楽しめるいけばなをアピールし、皆さんをさらに美しい花の世界に誘いたいと思っています。

伝統文化いけばなこども教室にて修了証書授与記念写真(上段一番左が工藤さん 2012年3月)

初心者から1級までになったスキー 辛いときもお花に勇気づけられて

 趣味は「読書」と「美術館めぐり」です。
 読書は主に文庫本を読むことですが、中でも好きな作家は宮部みゆき先生です。眠る準備の読書のはずが、朝方まで読みふけってしまう時もあります。女優の室井滋さんが「ドラマ化する時は主役でも脇役でも演じてみたい」とおっしゃる私一押しの作家さんです。

国民文化祭野外展に出品(2014年10月)

 また、特技と言えるか定かではありませんが、基礎スキー1級の資格を持っています。「静」のいけばなと違い、「動き」や「流れ」の中での指導はとても難しいものです。
 私がスキーを習い始めたのは30代後半でした。職場の方々と一緒にスキーに行くと、私だけいつもファミリーゲレンデに置いていかれるので「みんなと同じコースで滑りたい!」と思い、指導員の方にレッスンをお願いしました。花材の取り合わせを考え、花器を選び、花型を考える時と同じように、ご指導くださった方もきっとあの手この手といろいろな指導メニューを考え、大変なご苦労をおかけしたのではないかと思います。その方の指導で技術が向上し、またスキー本の表紙の撮影風景を見ることができ、感動したことは良い思い出です。

 何事も三日坊主で続かなかった私が、研修課程U期に参加し、全国の方々と交流を持てたことが励みとなって、ここまでいけばなを続けることができました。お花は私の活力になっているのだと思います。15年前に母が亡くなったことがきっかけでうつ病になった時も、お花が私を助けてくれたように思います。「よく立ち直れたね」と周囲に言われた時、お花の力はすごいとあらためて思い知らされました。「人生山あり谷あり」って本当ですね。
 今回、素晴らしい企画に参加させていただき、全国の皆様とつながりができたことを本当にうれしく思います。

絵手紙(2017年2月)
【工藤 豊真さんに一問一答】
好きな花: 燕子花
好きな作家: 宮部みゆき
好きな作品: 『桜ほうさら』
マイブーム: クックパッド

工藤 豊真さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、五味 桐苑先生(長野諏訪支部)です。研修課程U期で同じグループになったのがきっかけで知り合い、V期でも同じグループになり不思議な運命を感じたそうです。話し上手で聞き上手。的確なアドバイスをくださり、リーダーとしても尊敬できる素敵なお姉様とのことです。どうぞご期待ください。


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