みんなのいけばな

File No.95

三浦 秀蘇さん 三浦 秀蘇さん 秋田県/秋田支部

海外生活で気づいた自国文化の大切さ 「いけばな」で国際交流の架け橋になりたい

人の心を打つような「私の花」をいけられるよう
自己研鑚を重ねて

イギリス留学がきっかけとなって、日本文化勉強の必要性を感じたと言われる三浦さん。現在は日本で子どもたちに「いけばな」と「英会話」を教え、語学力を活かした地域ボランティアとしても活躍されています。恩師や先輩方からの温かい言葉を胸に、感謝の気持ちを忘れず、前向きに物事に取り組まれる三浦さんの「いけばなじん」ストーリーをお楽しみください。

大先輩であり同志でもあり 包容力のある五味桐苑先生

 五味桐苑先生との出会いは、研修課程U期に進んだ10年以上前のことで、秋田支部の先生を介してお話させていただくようになりました。五味先生は、大先輩であるにもかかわらず気さくに接してくださって、私の経験が浅かった頃でも、惜しみなくたくさんのお花の知識を教えてくださいました。また若輩者の私の意見も丁寧に聞いてくださり、まるでいろいろなものを超えた“同志”のようなお付き合いをしていただけ、本当に懐の深い方です。

産休から1年半ぶりに参加した研究会で100点
をいただいた作品(2014年6月)

 私が結婚のご報告をした際、「近くに住んでいたら、私が新生活の準備を一緒にしてあげられるのに」とおっしゃってくださったことがとても嬉しくて、本当に私のことを娘のように思ってくださっているようで、胸がいっぱいになりました。

留学後、日本文化を理解しようと始めたいけばな 習いだしてすぐに夢中に

 20年ほど前、語学留学をしていたイギリスで、ホームステイ先から学校までの往復徒歩1時間の道のりが私の楽しみの一つでした。その道のりにある家々のお庭が、大小にかかわらず愛情を込めて作り上げられていて、どれも本当に美しく、それらを眺めて歩くと1時間があっという間に過ぎました。また、異国の慣れない生活に疲れた時、途中の大きな公園のベンチに座って、木々の間を吹き抜ける風の中でずっと植物を眺めていると、不思議と気持ちが癒され、立ち上がる時にはなんだか体が軽くなったように感じたものでした。
 そんな経験から、植物に触れていたいという気持ちが湧き起こったこと、またさまざまな国の友人たちと自国について話すなかで「自分がいかに日本文化を知らないか」ということに気づいたこと、それらがいけばなを習おうと思ったきっかけでした。

イギリスに留学していた時にホストファミリーと(1995年8月)

 帰国後すぐに母の友人に紹介してもらったのが、黒澤豊恵先生の教室でした。3回目ぐらいのお稽古で、なぜか「私は生涯いけばなを続ける」とはっきり思ったことを覚えています。それほど本当に楽しくてすぐに夢中になりました。
 塾講師という仕事柄、午後の早い時間にお稽古に行けていたので、先生と二人きりということも多く、その時に先生のお話をお聞きするのも大好きな時間でした。

お稽古を始めた日から描きだした「いけばなノート」

ファミリーのような秋田支部 諸先輩方に憧れ、後を追い続けて

 先生のお導きで、青年部役員や準幹部、地区別教授者研究会の参加など、さまざまなことにチャレンジさせていただきました。幹部になってからは「みんなの花展」の合作で大作をいける経験をさせていただくなど、とても勉強になっていると同時に、いけばなを通して「あらゆる視点からものを考える」ということを学んでいるように感じます。

「みんなの花展」幹部合作(2017年4月)

 数年前に黒澤先生からいただいた年賀状に「自分のお花をいけられるようにがんばってね」とお書きいただいたのが心に残っています。まだまだ私は道の途中です。黒澤先生のお花を拝見するたびに、いつか私も先生のように人を魅了する「これが私の花」といえる作品をいけてみたいと思っています。

尊敬する黒澤豊恵先生と(下段中央が黒澤先生、上段中央が三浦さん 2009年7月)

 秋田支部は、先生方がとても温かく、ファミリーのような支部だと感じています。研究会の準備で出産間近の大きなお腹で花器を運んでいると、横からひょいとその花器を持ってくださったのは大先輩でした。「先生、大丈夫です!持てますから」と慌てて取り返そうとすると、「いいのよ。こんな時は甘えなさい。その代わり、元気な赤ちゃんを産んだら、次はあなたが手伝ってね」と。
 本当に温かい言葉をかけてくださる先生がたくさんいらっしゃいます。その後ろ姿を見て、憧れて、ここまで来られたように思います。

青年部で作ったポーセラーツのネックレスをつけて。
大好きな先輩たちと(右が三浦さん 2009年10月)

温かくサポートしてくれるお花屋さん いけばなを通してつながったご縁は宝物

 長年、塾講師として高校生・中学生に英語を教えていましたが、出産を機に幼児や小学生のための英会話教室を開講しました。昔からお世話になっているお花屋さんに教室をお借りして、「いけばな」と「英語」の両方を教えています。お花屋さんは偶然にも私と同じ姓(三浦)で、皆さんから「お花屋さんの娘さん?」と聞かれるのですが、否定できないほど家族のように助けていただいています。お花屋さんとのお付き合いもいけばなを通じて得られた大切なものの一つです。

お稽古風景(左が三浦さん 2017年4月)

地域ボランティアにも積極的に参加 いけばなが叶えてくれた長年の夢

 私の住む大曲は、毎年8月開催の「全国花火競技大会」の会場となる、有名な“花火の街”です。人口は数万人ながら、この日は一夜に80万人ほどの人が訪れます。今年4月には「国際花火シンポジウム」というイベントが1週間にわたって開催され、世界約40カ国400名以上の関係者が訪れました。
 私も昨年から市民ボランティア養成講座の講師を務め、当日は通訳スタッフとして参加しました。文化交流のイベントもあり、外国の方にいけばなを教える機会にも恵まれました。そこで本当に楽しそうに花をいける外国の方々を見て、20年以上前の留学時に感じた「日本文化の理解不足」が少しは解消されて、多少なりとも文化交流の懸け橋となれた気がしました。
 この経験を機に、外国の方にいけばなを伝えることが私の今後の目標の一つとなっています。

国際花火シンポジウムボランティア養成講座の生徒さんたちと(最前列左から3番目が三浦さん 2016年12月)
【三浦 秀蘇さんに一問一答】
好きな花: 沙羅双樹、グロリオサ
好きな作家: 三好達治
好きな作品: 『甃(いし)のうへ』
マイブーム: 息子の成長日記(足の写真)
息子と毎年芝桜を見に行きます(2016年5月)

三浦 秀蘇さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、久家(くが) 美津子さん(加古川支部)。研修課程T期で5日間ご一緒しただけですが、以来10年以上、年賀状のやりとりを続けているそうです。いつもお手製の干支があしらわれた年賀状に温かい言葉が添えられ、一昨年は幹部研修会で喜びの再会を果たされたとのこと。どうぞご期待ください。
久家先生からいただく素敵な年賀状

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