みんなのいけばな

File No.98

三浦 秀蘇さん 鈴木陽子さん (静岡県・清水支部)

いけばなが引き合わせてくれた大切な親友
素敵な生き方を教えてくれた友人に感謝

おもてなしの気持ちで務めた花展の仕事が
成長のきっかけに

嫁ぎ先のお姑さんがいけばなの師となった鈴木さん。家族が皆優れた腕前をもつ環境で葛藤しながらも、お花と向き合う努力を続け、変身したかのごとくいけばなを楽しめるようになりました。花展や青年部活動、また研修課程や地区別教授者研究会などにも積極的に参加。恩師や仲間を大切にし、常に感謝の気持ちを忘れない鈴木さんにお話を伺いました。

笑顔が素敵で包容力のある元場さんとの出会い
今ではなくてはならない存在に

 元場さんと初めてお会いしたのは、1999年3月、研修課程U期の控え室でした。名札から、支部は違うものの同じ静岡県の磐田支部の方だと知って、同支部の金田さんとご一緒のところに私の方から声をおかけしました。
 T期が免除されたので、「研修課程はどんな勉強をするのかこの機会にちょっと覗いてみようかしら」と思いついて参加したものの、控室の雰囲気からそんな気楽なことではないのだと気づいて反省し、不安と緊張でいっぱいになっていた中での出会いでした。

 元場さんはにこにこした笑顔がとても優しげで、それで「声をおかけしても大丈夫」と感じたのかもしれません。お二人とも親切で、困ったことも「まかせて!」という感じで本当に心強かったです。
 現在も清水支部の「みんなの花展」には必ずといっていいほどお二人で来てくださり、私も磐田支部の花展にお伺いしています。磐田から電車で1時間以上かかる茶会にも顔を出してくださいます。また、ときどき磐田と清水の中間地点に3人で集まって、おしゃべりやお食事を楽しんでいます。

みんなの花展に来てくださった磐田支部の元場さん(右)、金田さん(左)と。
研修以来の大切な友人(2011年10月)

 他にも、元場さんの息子さんが作られる無農薬のお米を定期的に送っていただいたり、また、お庭の渋柿や夏みかんも送ってくださるので、干し柿にしたりピールを作るなどして楽しませていただいています。私の方からは桜えびや、主人が趣味で作っている落花生や里芋などをお送りしています。
 研修課程に参加してお二人に出会えたことに今でも感謝しています。その後の私の人生はお二人のおかげで心豊かになりました。またお二人から学ぶことが多く、なくてはならない親友です。

義母に学んだいけばなとお茶の道
花展出瓶をきっかけにお花への気持ちに変化が

 いけばなとの出合いは嫁ぎ先です。26歳でお見合い結婚をした主人が長男でしたので、二世帯同居となりました。義母は姑であったと同時に、私のお花とお茶の師となりました。主人の姉二人も稽古していて、のちに支部長となった上の姉(白滝敦子さん)は、研究会に子どもをおんぶして参加し、菊3種で100点を取ったというエピソードの持ち主でした。他のお弟子さんもお上手な方が多かったなか、私ときたら、やたらと花材を短く切ってしまうような萎縮した花をいけていたように思います。
 来客の多い家でしたので、お稽古より出迎えに多忙でますます花から逃げていたのかもしれません。それでも、支部7周年記念花展に出瓶させていただいた頃から花展の楽しさが分かるようになり、10年を過ぎた頃には伸び伸びといけられるようになりました。こんなにいけばなを楽しめるようになるなんて、女性は変身できる特質を持っているのかもしれないと思います。

清水支部創立15周年記念花展にて。左から2番目が母・鈴木志づ

 義母は役員をしておりましたが、当時の新しい花型(A・B・C・D)についていくのが大変なので、茶道に専念したいと60歳を機に引退。姉と私にお弟子さんを託しました。現在、私は74歳になりましたが、今も花意匠などを楽しくいけていますので、時代の違いもあるのかなと感じています。

 小学校4年生から6年生の時の恩師が、退職後、私の教室にいけばなを習いにきてくださっています。私は恩師を「先生」と、先生は私を「陽子ちゃん」と呼んで、「楽しい、楽しい」と言っていただき、30年間休まずにお稽古に通ってくださっていることに感謝しています。

お花のお稽古風景。左が小学校時代の恩師、野崎千恵子先生(2017年6月)

少人数で仲の良い清水支部
周年記念花展や青年部活動など、すべてが素晴らしい思い出

「第65回静岡県華道展」出品作
  (2016年11月)

 今年、清水支部は創立40周年を迎え、県内の支部長や先生方もお招きし、日本平ホテルで新年会を兼ねた式典をおこないました。
 以前、副支部長として取り組んだ30周年花展では、花器の扱い方をはじめ、細やかな気配りなど、さまざまなことが大変勉強になりました。おもてなしの精神や日常生活において学んだことが活かされ、心も豊かになる花展。花がいつもいきいきとしているところを見ていただくことが一番であり、基本だと思っています。

「第62回静岡県華道展」二人席出品作
山口百代先生との合作(2013年10月)

 清水支部はあまり広い地域ではなく、また時代とともに会員が減少しているので、少人数の支部になってしまいました。その分、大変仲がよく、和気あいあいとしています。嬉しいことに研究会に来てくださる研究院の先生方は、「皆さんお上手ですね」とおっしゃってくださいます。また「みんなの花展」には子ども教室の子どもたちも参加するとともに、たくさんの来客数にも恵まれ、ご好評をいただいています。

 部員として支部の仕事をしていた頃、仲間とミニ花展を催したことがあります。会場の決定から展示内容、展示方法、花材の調達など、何もかも自分たちで相談して決めました。残念ながら諸事情から2回で終わってしまいましたが、今思えば「みんなの花展」を先取りしていたように思います。


若かりし頃の清水支部の仲間たち

 1992年に青年部が発会した時は、初代部長に就任しました。前年に八幡平で開催された「八幡平青年部夏期大学」に有志で参加した際、「野外制作とはこういうことか!」と目から鱗の気分を味わい、発足後は静岡県青年部の野外イベントに参加。朝霧高原・青少年の家にある広大な会場での制作や、工藤昌伸先生の批評会中に突然雹や雷に襲われ、先生の声もかき消されるほどの爆音が轟いたことも忘れられません。当時の青年部の面々と顔を合わせると今でも楽しく会話が弾みます。部員仲間で八幡平に旅行した際に目にした、夢のように美しい景色やギンリョウソウなどの野草は、今なお話題の一つになっています。

清水支部青年部発会(1992年3月)
「第3回関東・信越地区青年部野外展」支部出品作と(2017年4月)

 また地区別教授者研究会へは、今年参加すると32回目になります。このように今まで参加し続けられたのは、素晴らしい仲間とご指導いただいた諸先生方のおかげと深く感謝しています。脳トレのつもりで、もう少し頑張りたいと思っています。

義母の遺志を継いだ茶道にも精進
編み物仲間が集う「サロン・ド・ヨーコ」は、ほのぼの空間

 義母が亡くなり、昨年十七回忌を済ませました。義母からはいけばなだけでなく茶道の指導も引き継ぎ、自宅で週2回お稽古をしています。厳しく教えながらも楽しく和気あいあいとした教室です。茶会は年に2、3度催し、お弟子たちには世話をかけていますが、「お祭りみたいで楽しいから」と言ってくれることに甘えて、一期一会の楽しみと開催しています。
 今も月に1度は品川の家元の所にお稽古に出向き、勉強を続けています。昔、「十を知って一を教える余裕が必要」と聞いたことがありますが、全く同感で、教えるためには自分も勉強をしなくてはなりません。お花とお茶の両方を一度に指導することが頭の活性化につながっているように感じ、生徒さんからお月謝をいただきながら自分のためになっていることが申し訳ないくらいです。
 小さな流派ですので、茶道連盟の流代表としても長く役員を務めさせていただいています。また、近くにある公園「船越堤」の本格的な茶室で月釜をする清心会にも関わっています。桜の名所でもあるので、春のさくら茶会、秋の紅葉茶会を会員と協力して催し、たくさんのお客様をお迎えしています。年の始めの家元初釜、年に一度の東京・護国寺での敬和会茶会にお弟子たちと伺うのも楽しみの一つです。

お茶のお稽古風景。自宅茶室にて(中央が鈴木さん 2017年7月)

 長く続けている趣味は「編み物」です。若い頃はその道に進みたいと思うほど夢中になり、コンクールで賞をいただいたこともありました。実の姉の友達関係の人たちが集って始めた会では、大作を手作りしたりもしましたが、30年以上も経つともっぱら小物作りや「サロン・ド・ヨーコ」などといって、編み物しながらおしゃべりしたり、お昼にはお弁当を持参したり、近くに会食に出かけたりして楽しんでいます。
 最高齢は90歳の姉の高校恩師ですが、幸いわが家から近いこともあり、月1回のお稽古を大の楽しみにおいでになります。「サロン・ド・ヨーコ」と命名してくださったのも彼女です。

 お花の稽古に来られる私の86歳の恩師といい、編み物に来てくださる90歳の方といい、その方々の生き方に感銘を受け、近くにいられることに感謝の日々です。
 恩師やお弟子さんたち、いけばなを通じて親しくなった人たちに恵まれて、本当に良い人生を過ごせていることに心から感謝しています。そして今回、「いけばなじん」のリレーを私につなげていただき、あらためて自分のことを振り返る機会をくださった元場さんにも心から感謝申し上げます。

オリジナルの手作り作品
【鈴木 陽子さんに一問一答】
好きな花: 秋海棠
好きな作家: 甲斐伸枝
好きな作品: 『雑草のくらし‐あき地の五年間‐』
マイブーム: 毎日の食事。食したものすべてをスケッチブックに書き、色鉛筆で塗り、横にその日の出来事を記します。たまに書けない時がありますが、毎日、3年続いています。
毎日日記帳がわりに食事を描いています

鈴木陽子さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、大川美幸さん(静岡支部)です。研修課程U期をきっかけに親しくなり、静岡県内6支部のイベントなどでも声をかけ合う友人になったそうです。お花が好きで一生懸命いけばなに取り組んでおられる大川さんは、鈴木さんの尊敬する「いけばなじん」であるとともに、歳の離れた妹のような存在とのこと。どうぞご期待ください。

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