みんなのいけばな

File No.100

石塚慧晶さん 石塚慧晶さん 北海道/札幌支部

優しく心強い師の言葉を胸に
一歩一歩進み続けたい

人生を広げてくれた青年部活動
仲間との出会いが開いた新しい世界

記念すべき「いけばなじん」100回目にご登場いただくのは、石塚慧晶さんです。ご友人からの電話をきっかけに始まった石塚さんのいけばな人生。充実した青年部活動、恩師との思い出など、語り切れないエピソードでいっぱいです。熱意と努力で、活動の幅をどんどん広げていらっしゃるその生き方は、彼女自身がお好きだというスポーツ選手のひたむきさにも重なります。心が温かくなる石塚さんのいけばなじんストーリー、どうぞお楽しみください。

青年部活動で出会った大川さん
「いけばなじん」が再びつながったご縁が嬉しい

 大川さんとは1991年に「八幡平青年部夏期大学」で同じグループになり、ご一緒させていただいて以来のお付き合いです。私たち “北海道組”のメンバーが長靴に履き替えたときのこと。「長靴って普段履くの?」と大川さんが質問されました。「当然雪国ですから必需品です!」とお答えすると「そうなんだ…、こっちだと履く機会ないから…」と驚いておられたことが印象に残っています。 その後は、青年部大会や『いけばな小原流100周年「盛花新世紀展」(1995年)』、「マイ・イケバナ」など、全国規模のイベントでお会いしては食事をご一緒したり交流を深めてきました。

「八幡平青年部夏期大学」にて(左端が石塚さん)(1991年)

 とても気さくでユーモアがあり、笑顔の素敵な大川さん。近年は年賀状だけのおつきあいになっていましたが、今回こうしてご連絡をいただき、「いけばなじん」としてつながったことを嬉しく思っています。

過去の「いけばなじん」に二人が一緒に写っている写真を発見しました!
いけばなじんNo.27 福士春水さんの
「マイイケバナの出品者仲間と理事長を囲んで(2001年)」の写真

1本の電話から始まったいけばなの道
続けてこられたのは恩師の存在あってこそ

 ある日、函館に住む学生時代の友人から電話がありました。お互い保育士として働いていましたが、友人が保育園で子どもたちとお散歩に出かけた時に「この花なんていうの?」と聞かれて、朝顔と向日葵ぐらいしか答えられなかったということでした。友人曰く「いけばなを始めたらお花の名前が覚えられるかなと思って始めたの!そしたら結構楽しいから、習ったらいいよ!」という内容でした。 
 私は早速、電話帳を広げて(当時の調べ方はこれが主流でした)、札幌の小原流事務所に問い合わせ、職場近くにあった木原ナミ先生の教室を紹介してもらいました。これが私のいけばな人生の始まりです。友人がたまたま小原流だったので私も何も考えずに小原流を選びましたが、もし友人が違う流派だったら私も他流派を選んでいたと思います。友人に感謝です!  お稽古場は穏やかな雰囲気で、先生が「お花30分、おしゃべり3時間。これが楽しいの!」とお茶菓子や、時には軽食を用意してくださり、お稽古の後はおしゃべりに花が咲きました。
 先生はいつも笑顔で「お花が上手になるのもうれしいけど、良き女性、良き妻、そして良き母になってほしいの」と話しておられました。そう考えると私は何とも不肖の弟子になってしまいましたが…。私自身もすぐに飽きてやめてしまうと思っていたのですが、先生のおかげで途中でやめることもなく、こうして長きにわたりいけばなを楽しんでいます。

木原社中にて(後列左端が石塚さん(1995年))

たくさんの思い出が詰まった青年部活動
創作の楽しさ、出会いの喜びを感じて

 木原先生に勧められ、師範科一期から研究会に出席しました。会場では同じような年代の人たちが青年部発足に向けてPR活動をしていて、「楽しそうだなぁ」と思い、発会式に出席。その後青年部員となり活動にも参加するようになりました。  
 青年部では「青年部大会」「夏期大学」「マイ・イケバナ」、そして小原流創流100周年記念・花のオベリスク「百代過客」のスタッフとして参加しました。宿泊を伴う大規模なイベントに参加することで、全国にたくさんの友人ができ、普段の生活では決して出会うことのない方々との出会いや貴重な経験をすることができました。

小原流創流100周年記念・花のオベリスク制作風景(1995年)

 また、札幌で開催された「界川游行(1989年)」という大きな野外イベントに4世家元・小原夏樹先生が出品され、祝賀会では夏樹先生のお隣に座らせていただきました。とても緊張しましたが、今でもそのことは思い出として深く心に残っています。

 札幌支部青年部としては、福島県「うつくしま未来博」(2001年)の野外展で「ジーンズの森」を出品。優秀賞をいただき、新聞やテレビでも紹介されました。

「ジーンズの森」(2001年)

 また、札幌にある国営滝野すずらん丘陵公園の公募展に応募し、「落ち葉の柱」が採用されました。公園内の落ち葉を金網で作った直径1m×高さ2mの円柱に集めて柱を作るほか、研究会でゴミとして出た枝や葉、残花も柱に集め、1年間で20本の柱を作りました。

「落ち葉の柱」(1998年)

 私にとって、青年部活動は本当に楽しく有意義な時間でした。活動を通して社中や支部を超えた良き仲間に出会い、また諸先輩の先生方に支えていただき、充実した楽しい活動を続けることができました。
 心に残る数々の思い出にはどれもたくさんのエピソードがあり、一つだけを選ぶことはできませんが、いつどんなときも木原ナミ先生が見守っていてくださいました。時には「もう、やめたい!」と愚痴をこぼすこともありましたが、先生は「うん、うん」と優しくうなずき、「いつも謙虚で聡明であれ」と諭してくださいました。
 ところがある年、木原先生が大きな怪我をされて故郷に戻られることになり、それからは一人で自習しながら研究会や研修に臨んでいました。
 研修課程V期に参加し、ご指導いただいた難波佳代子先生が、私が10年近くも先生につかず一人で稽古をしていることをお知りになり、「お稽古というものは花をいけるだけでなく、人の作品を見たり、先生にお手直しをしていただくことが大切なんですよ」とご助言くださり、札幌支部・支部長の横井景先生を紹介してくださいました。
 横井先生は、長く自己流が続いていた私に基礎からしっかりと何度も丁寧に教えてくださいました。また無駄を減らし、悪しき習慣やしがらみを捨てて目標に向かって進まれています。そんなお姿を間近に拝見し、小さな会社を営む私の大切な教えとなっています。

親先生の横井景先生と(2015年4月)

 現在、障害児の通所施設を運営し、「界川游行」で出会った現代アート作家の藤木正則先生を講師にお招きして、子どもたちと創造する楽しさやその過程でうまれるコミュニケーションを楽しんでいます。
 また、近くの公民館では月に一度、子ども教室を開いています。今年で4年目になりますが、良き仲間や子どもたち、また保護者のみなさんに恵まれ、和気あいあいと楽しくお稽古をしています。
 2014・2015年に、札幌地下歩行空間で「ちかほのホ」造形展を有志で行いました。
 テーマは「歩」。1日に何万という人が歩く空間で、いけばなだけでなく書道、織り、写真など、趣旨に賛同した作家が集まり、数回にわたってレクチャーを開き、ともに学びながらの造形展ではたくさんの刺激をもらいました。また近い将来の開催を企画しています。

「ちかほのほ」造形展(2014年)

 他には18年ほど、近くの郵便局でお花をいけています。ある時、「まあ、あなたなの、いつもお花楽しみにしているのよ!」と声をかけられびっくりしました。見ている人などいないと思っていたので、郵便局を訪れる人の中には楽しみにしている方も多いと知り、うれしく思いました。

 また、札幌支部では毎年花展を開催しています。幹部となって今年で4年目。研修部に所属し、日々先輩たちから叱咤激励をいただきながら深く学ばせていただいています。

スキーに夢中だった頃の 
恩師とのほろ苦くも心温まる思い出

スキーはインストラクターの腕前!

 趣味はスキーで、インストラクターの資格を持っています。
 スキーを始めてからは、仕事帰りは毎日のように山に通うようになり、お稽古になかなか行けず、木原先生のご自宅にお花だけを取りにいくことが多くなりました。先生は、お稽古に来ないことをあれこれ言わず「スキー頑張ってきなさい。最後まであきらめずにね!」と、なかなかインストラクターの試験に合格しない私を応援してくださいました。ある日、いつものようにお花を取りにいくと「お腹すいているでしょ!」とお昼にみんなで食べたおこわをおにぎりにして持たせてくださいました。「○○さんが持ってきた漬物もあるからね」と、紙袋をちらりと見てお礼を言って車に乗り込み、山へと急ぎました。途中、お茶でも買おうと再度、紙袋を見ると、ちゃんとお茶も入っていました。とっても嬉しくて涙がぽろぽろこぼれ、泣きながらおにぎりを食べたことを思い出します。

 最近は、野球、サッカー、テニス、相撲、スケートなど、スポーツ全般の観戦を楽しんでいます。テレビ観戦が主ですが、時には札幌ドームでも観戦します。
 スポーツ選手の方々の、一生懸命目標に向かっているあの「瞳」を見るのが、私は大好きです。

【石塚 慧晶さんに一問一答】
好きな花: ブラックティー(薔薇)
好きな作家: 絵本作家のデビッド・ウィーズナー
好きな作品: かようびのよる
マイブーム: 野菜炒め
昨年母が亡くなりました。毎日家族のことを思って野菜たっぷりの食事を作ってくれました。そんな母を見習い、野菜不足にならないようによく野菜炒めを作ります。調味料を変えたり、あんかけにしたり、珍しい野菜を入れたりして日々奮闘しています。

石塚 慧晶さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、沖村恵理さん(長崎支部)です。研修課程の帰り道で出会って話が弾み、以来メールで情報交換をしながら、札幌と長崎と、距離は離れていますが、お花のことを質問するとすぐに答えてくれ、穏やかさの中にも芯の強さを感じられるとのこと。どうぞご期待ください。
 

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