みんなのいけばな

File No.110

三浦 秀蘇さん 三浦 秀蘇さん 秋田県/秋田支部

海外生活で気づいた自国文化の大切さ 「いけばな」で国際交流の架け橋になりたい

支部長として見届けてきた小原流の歴史
一瞬一瞬を心に刻んで

お母様もいけばなの指導者で、ご自宅にはいつもお花があったという木野さん。子育て真っ最中にお稽古を始められたこともあり、いけばなは日常の忙しさを癒してくれる心のオアシスにもなったそうです。支部長として5期10年間人吉支部を支え、さまざまな地域活動にも貢献されてきました。穏やかで物腰の優しい木野さんに、彩り豊かないけばな人生を語っていただきました。

お母様思いの心優しい中田美根子先生
どんなときも頼りになる存在です

 中田美根子先生とは2004年1月、四世家元・夏樹先生を偲ぶ会で初めてお会いし、お話をしたのは翌月の地区運営委員会支部長会の時だったと思います。私より一期あとの支部長でしたが、素晴らしい発言力があり、私にないものを持っておられる方だなあと思いました。
 その後、お会いするごとに気があうようになり、支部長セミナーの往復をご一緒するようにもなって、とても仲良くなりました。当時は支部長同士の悩み等を相談し合うこともあり、大変頼れる仲間と思うようになりました。


「みんなの花展」出品作。
 イオンモール人吉店の通路を会場に
  (2017年9月)

 中田先生と花展等をご一緒すると、よくお母様が同伴されていました。「母娘二人暮らしなので家に一人置いてくるのは心配で…」という、スポーツウーマン(水泳やマラソンがお得意)の中田先生ならではの優しさに感心したのを覚えています。また、お母様も「後々娘を一人残してしまうので、これからもずっとお友達として、姉妹のように仲良くしてやってくださいね」と仰られたことがあり、お互いを思いやる素敵な母娘愛を感じました。
  人吉で開催する花展には必ず来てくださり、私の主人が入院した時も死去の時もすぐに駆けつけてくださった中田先生。お勤めをしながら支部長を務められたこともとても立派だと思います。現在は、お互いに支部長職から離れ気分的にゆとりができたので、メールやLINEでよく連絡を取っています。大好きな存在の先生です。

いけばなは母との思い出
支部長として参加した行事に思いを馳せて

 幼い頃、母は他流ですがいけばなを教えていました。子どもの頃から床の間にはいつもお花がいけてあったので、お花を目にする機会に恵まれていたと思います。私がお花を習いたいと思った頃、延岡から人吉に帰ってこられた萩原豊実先生がJR人吉駅前にあった叔母の家で教室を始められました。母には「あなたは他の先生に習いなさい」と言われていたことや、叔母が勧めてくれたタイミングにご縁を感じ、生まれて間もない長男を連れてのお稽古が始まりました。お稽古に行くと叔母夫婦が楽しみに待ってくれており、お稽古中は息子の面倒を喜んでみてくれました。今思うと、とても忙しい日常の中で自分の花と向き合う何とも素敵な時間を過ごせ、小原流に出合えて本当に良かったです。
  いけばなは、心を「無」にして花と向き合うことができる至福の時間であり、また時折母を思い出させてくれる大切な存在です。


支部長セミナー参考花(2009年10月)

 2002年1月に人吉支部 支部長を拝命し、熊本県支部連合会7支部の支部長先生方と本部のさまざまな行事に参加させていただいたことは、私のいけばな人生で何より一番の宝物です。中でも、2004年四世家元・夏樹先生の十三回忌で、まだ高校生でいらした五世家元・宏貴先生がご自身の決意を立派にお話しになられた姿に、参列した皆が感動し涙を流したことを昨日のことのように思い出します。今は大変ご立派になられた家元を、他流派の先生方にもいつも自慢しています。また、家元の「東大寺大仏開眼1250年慶讃大法要」献花式での凛としたお姿は、今も心に焼きついております。


お家元を囲んで支部長セミナー後の楽しい食事会(前列左端が木野さん)

地域に根付き、幅広く活動中の人吉支部
花のもつ力を多くの人々に届けたい


人吉駅にボランティア花を挿花

 人吉支部は、人数的には小さな支部ですが、創立当初より広い蓮池が美しい国宝「青井阿蘇神社」境内の幼稚園で研究会を催すなど、素晴らしい環境に恵まれています。青井阿蘇神社の秋の大祭「おくんち祭り」「夏越し祭り」でのいけばな奉納も長年続いております。
 JR人吉駅では、1971年に池坊、草月流、小原流の三流派が月交代で5日に1度のいけ替えのボランティアを始めてから、今年で47年になります。現在は池坊と小原流の二流派となりましたが、人吉市在住の先生方により一日も欠かさず続けていることで地域の新聞に掲載されたり、JR九州から表彰いただきました。花代は個人負担ですが誰も「やめよう」と言い出すことはなく、人吉を訪れる方々が花で旅の疲れを癒すことができ、ホッとひと息ついていただけるのなら、皆それで満足だと感じています。


国宝・青井阿蘇神社の奉納花。右は木野さんの作品

 人吉文化祭では舞台芸術と展示部門に分かれて花展をおこないますが、どちらも支部の大切な行事となっています。


人吉文化祭の迎え花(2017年11月)

 支部長就任中は、毎年開催する「みんなの花展」運営に頭を悩ませました。ある年には、ゴールデンウィークに800mほどある商店街のショーウィンドーや店先をお借りしていけ込みをするなど、大変な作業で疲れることもありましたが、商店主の方々に大変喜んでいただけたことは良い思い出となりました。また、古民家をお借りして花展を開催したこともあります。
 また2007年6月には、小原流研究院教授 横東宏和先生のご指導により「人吉支部創立50周年記念特別講習会」を開催。盛況のうちに幕を閉じることができました。取りかかり始めの段階から、九州はもとより全国各地の多くの先生方にお力添えをいただきましたことを今でも深く感謝しております。


市議会議場に季節の花を挿花

 個人の活動としては、人吉市市議会の開会期間に議場に花をいけております。議員の皆様からは「議場に花の香りがしてなごみます」とのお言葉をいただいています。
  市教育委員会主催の総合型スポーツクラブの中には、文化的活動の一つとして「やさしいいけばな」をテーマに子どものためのいけばな教室も入れていただき、現在10年目になります。4才〜6年生が主で、中学生になると部活動が忙しくなり残念ながらリタイアする子もいますが、それまでは皆休むことなく参加してくれています。



子どもや生徒たちと分かち合う楽しい時間
いけばなを通じて心の交流を

 現在は、自宅で「いけばな教室」と、子どもたちに文字の基本を教える「習字教室」をしています。
  「習字教室」の子どもたちが学校でのさまざまな出来事を話してくれるので私自身も楽しく、それ以上に子どもたちがこの教室が「学校より楽しい!」と休むことなく続けてくれることがとても嬉しいです。また、ある時期に不登校の小学生や中学生もいましたが、習字だけは休むことなく来てくれました。


自宅開催の書道教室で
  習字のお稽古をする子どもたち

 大人が集う「いけばな教室」では毎回お稽古が終わると皆さんに昼食を作り、楽しくいただいています。そうすることでいけばなとは違う話題にも花が咲き、仲が深まる気がします。毎回「何を作ろうかなあ」と考えるのも楽しみのひとつです。
  出会った生徒たちがお嫁に行くなどしてお花から離れてしまう時は淋しく感じますが、お稽古での経験が彼女たちの心の糧となってくれることを心から願っています。

 趣味の日本舞踊は40年間続け、名取りでもあります。フラダンスも12年間楽しんできましたが、膝を悪くして人工関節となり腰椎も圧迫骨折したため、無念の中断。体を動かすことが好きなので、何か新しいことに挑戦してみたいと思っています。


日舞の思い出。仲良しの友人と!(右側が木野さん)
【木野 豊浄さんに一問一答】
好きな花: 野の花の竜胆、桔梗、秋明菊、月見草。
もちろんきれいな百合、バラ、トルコ桔梗等も大好きです。
好きな作家・作品: 音楽は何でも好きで、本なら推理小説をよく読みました。最近印象に残った作品は又吉直樹さんの『火花』です。
マイブーム: ゲートボールにはまっています。実は今月開催の「熊本県民体育祭」に選手として出場する予定です(笑)。

木野豊浄さんからご紹介いただいた次回の「いけばなじん」は、支部長セミナーで知り合われた甲斐豊喜さん(延岡支部)です。いつも笑顔でおしゃれ、華やかで目立つ存在でいらっしゃるのに、実は控えめで心優しい方。お互い料理好きなところが共通点ですが、なんと甲斐さんは料理好きが高じて創作料理のお店を始められたそうです。どうぞご期待ください。

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